野球におけるスイッチヒッター (switch hitter) は左右両方の打席でバッティングを行う選手を指す。
ボクシングで右構えと左構えの両方で自在に戦える選手(例えばマービン・ハグラー、ナジーム・ハメド、テレンス・クロフォード[4]など)もスイッチヒッターと呼ばれることがある。
野球では、投手の利き腕に対し反対側の打席に立つ方が、「ピッチャーのリリースポイントが見やすい」「打つことが難しいカーブやスライダーなどの外に大きく逃げる変化球が来ない」
「ピッチャーのすっぽ抜けたボールが体に向かってこないため恐怖を感じにくい」などの理由で有利である。
このためスイッチヒッターは、一般的には相手が右投手の場合は左打席に、左投手の場合は右打席に立つ。
このことは野球の黎明期から知られており、アメリカでは、左右両打席で打つ試みも、19世紀のころから行われていた。
最初のスイッチヒッターは1871年から1874年にかけてニューヨーク・ミューチュアルズなどでプレーしたボブ・ファーガソンに遡る。
相手が右投手の時は左打者中心、左投手の時は右打者中心の打線を組むプラトーン・システムを積極的に取り入れるチームが増えて以降、
限られた人数のベンチ入り選手を有効活用するためにスイッチヒッターが重用されるようになり、出場機会を増やすために転向する選手が徐々に増えていった。
さらに、50年代から60年代にスイッチヒッターの強打者ミッキー・マントルがヤンキースのスター選手として活躍した影響から、それ以降はパワーヒッターでもスイッチヒッターに転向する選手も出てきた。
1940年代から徐々に増えていったスイッチヒッターは、1990年代前半にはメジャーリーグ全選手中で20%近くに達したが、その後は減少傾向にある。