打撃用ヘルメット(だげきようヘルメット、英:batting helmet)は、打席に立つ打者や走者が頭部保護の目的に装着するヘルメットである。
投手や他のポジションが投げたボールや打者が打った打球が、打者や走者の頭部に当たった際、素材の硬さや形状及び内装の緩衝材の効果及びヘルメット自体がはじき飛ばされることによりダメージを軽減することを目的として着用される。
1920年、メジャーリーグベースボール(MLB)でレイ・チャップマンが投球を頭部に受け死亡したことをきっかけとして革製ヘルメットの開発が行われ、その後現在ではポリカーボネイトなどの強化樹脂が使用されている。
ユニフォームの一部である野球帽と同様のデザインが施されることが多く、形状も通常のヘルメットとは異なり前頭部には野球帽型の大きな庇が設けられている他、側部には耳当てが付けられている。
ヘルメットの形状には規則がなく、どんな形のヘルメットでも基本的には認められる。なお、安全ヘルメットなどにあるあご紐は、衝撃をまともに受けて逆に危険になるためつけられていない。
打撃用ヘルメットは最初に野球帽と殆ど同じ形状の耳当てのないもの(半帽型)が登場し、頭部の保護を重視するプレイヤーが銘々に着用する事例を除いては、着用をチーム全体で義務付けたのは1941年以降のブルックリン・ドジャース、1950年代初頭以降の米国リトルリーグ、1953年以降のピッツバーグ・パイレーツなどごく一部に留まっていた。
半帽型ヘルメットは当初は革製が用いられたが、1958年にポリカーボネートが開発された事で徐々に普及が進んでいき[1]、MLB全体では1956年にナショナルリーグ、1958年にはアメリカンリーグでもヘルメットもしくは野球帽の下への衝撃吸収ライナーのどちらかの着用が義務付けられ、1970年には公認野球規則にて打者のヘルメットの着用が義務付けとなった。